P&Gの洗剤ブランド「アリエール」の海外(場所不明)での広告。
手がけたのは、僕が一番好きなAgencyのSaatchi & Saatchi。
このクリエイティブの良いところは、「驚きの白さ」とか「驚異の洗浄力」とか「フローラル~の香り」みたいに商品特性をストレートに伝えていないのはもちろんだけど、商品のそのもののパッケージ写真もなければ、商品使用のAfterシーン(真っ白な服を気持ちよさそうに干すシーン)もないし、商品使用のBeforeシーン(泥遊びで汚れた服を着る子ども)もないところ。それらのシーンよりもさらに手前のシーンを描いているところ。
ここには何もアウトプットされていないのに、「この角で人と人がぶつかって、、、綺麗にオシャレをした人の服が汚れて、、、でもアリエールで洗えば、、、ほらこんなにキレイさっぱり!」と想像しちゃう。人間の脳って不思議なもので、こういう物語の始まりを見せられると、その後の展開を勝手に想像しちゃうんですよね(少なくとも僕はそう思う)。
他にも例えば、風の吹く冬の河原で二人の剣士が対峙してたら、つい「これは決闘が始まる直前で、これからこの二人は刀を振り合い、片方がやられて、とどめを刺される前に名言を残す、、、」と想像してしまう。このあと二人が仲間を呼んで仲良くバーベキューとは、誰も想像しないはず。笑
こうやって自分で能動的に物語を想像してしまったものって、強制的に誰かに言われるよりはるかに強く頭の中に残ると思う(能動的行動だから当たり前か)。
もちろん、購買行動に直接つながりやすい店頭やチラシでは商品特性をストレートに伝えるのも大事だけど、このプロモーションのようにOOHやインタラクティブメディアでは、「続きの物語を想像させる」ような(=ユーザーの記憶に残させるような)クリエイティブが効くんじゃないかな、と思いました。
Memo : 商品利用シーンの一歩手前で思考の発火線に火をつける
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